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重度精神薄弱児順子とその周辺

「みんなのねがいネット」より

2001/07/23 掲載

(2001/07/24 レイアウト変更)

92/08/22 重度精神薄弱児順子とその周辺(19)/幹子

汚れたお皿

 食事のあと、洗わないままのお皿を、大事そうに抱え込み、順子はよっち、よっちとやっと移動して、自分の部屋の本棚にそのお皿を重ならないように、斜めにずらして危なっかしい状態でしまいこんでいる。洗ってないというだけではなく、どのお皿にも、一口ずつ食べ残してあって、カリカリに干からびていたり、ベトベトとケチャップが流れていたりする。

 そういうオムレツ、ハンバ−グ、スパゲッティ、ちらし寿司等々のこびり付いたお皿を「臭くなったから、洗いましょう。お皿をきれいにしてからなら、本箱にいれてもいいから」と言うと、顔をかすかにしかめている。それでも洗ってしまえば嫌そうな顔をしてはいるが、あきらめるようだ。

 私は毎日、順子が眠っている間にそっとお皿を持ち出しては洗ってしまうようになったが、そうなると順子は汚れたお皿を私に持っていかれないように常に気を付けるようになったみたいだ。ハッキリは分からないのだけれども、汚いお皿に近づくと急にニコニコしなくなるとか、私の歩く前に立とうとするから、順子の汚いお皿に私が近づくのを警戒しているような感じがする。

 腐ってしまったものを順子が食べることはなさそうに思うので、私の方が洗うことをあきらめ、順子の気がすむようにさせてみることにした。数枚たまった時、そのお皿のなかから選んで、私に見せるようにして軽く叩いている。汚れの種類で何が食べたいか私に知らせる方法を考えていたらしい。「順ちゃん、すごい、頭いい!」と思わず私が嬉しくなって言ったら、ニコッと笑った。

 私が汚れを見て「順ちゃん、オムレツ欲しいのかな?」とか「ちらし寿司食べたいのかな?」というと嬉しそうにうなずく。こうしてその日の献立が決まるようになった。お皿の汚れが古すぎて何だか分からない物もあって、そういうときに私が間違えるらしく、順子は不安そうな顔でお皿を叩きながら私を見つめている。

 食べ残しの汚れに、更ににほこりや折り紙のくず、髪の毛までこびりついて沢山積み重なっているのは、いかにも物凄いけれど、これが順子の言葉の代わりだと思えば我慢できる。

 私はしばらくは順子が意思表示をするのが嬉しくて、順子の言うとおりに、すぐに料理を作っていた。そのうち、「オムライスは晩ご飯のとき作るから待っていてね」とか「ちらし寿司は明日作るから、待っててね」と言えばそれで納得するようになった。

 順子は手を出して欲しがるとか、泣いたりすねたりして要求する術もないまま、あきらめることになれてしまっているように感じて気になっていた。汚れたお皿で、要求できたという順子の嬉しさや、あきらめないという気持ちを忘れないで積極的に伝えようと思ってくれたらいいと願う。

 もし、順子が私に負けて、汚れたお皿をしまっておくことを完全にあきらめてしまっていたら、そしてもし順子が嫌がるのに、なおも強引にお皿を洗ってしまっていたら、順子は要求することをあきらめてしまっただろう。

 そして私は、「順子には食べたい物を欲しがる気持ちはないのかもしれない」と思ってずっと暮らしていくのだろうと思うと、怖いような気がする。

 

ケ−キの箱

 順子を抱いて外出していて、普通なら欲しがりそうなおもちゃ屋さんとか、ケ−キ屋さんとかでも表情が変わらない。本当は欲しいのかもしれないけれど、伝え方が分からないからあきらめてしまうのだろうか。

 杉山公園のベンチに順子を抱いて腰掛けていたら、隣に腰掛けた人がケ−キの箱をひざにのせていた。

 順子の体がだんだん傾いていって、ケ−キの箱に近づいていく。箱を見つめているわけではなくて、前を向いたままなのだけれど、耳のあたりをほとんど箱につけようとする。抱きなおしても、すぐに傾いていく。こういう経験ははじめてだった。

 箱を見ないのは順子の遠慮なのだろうか、傾いていくのは欲しいという気持ちを伝えているのだろうか。帰りにケ−キを買ってみたが、嬉しいのかどうかハッキリしなかったから、欲しいという意思表示だったかどうかはわからなかった。

 ケ−キの箱をひざににせた若い女性は、本当は驚いていらっしゃると思うのに、順子を見ないようになさって、静かにほほえんでいらっしゃった。席を立たずにいてくださったので、私は順子の不思議な動作の繰り返しを見ることができた。

 

待つ

 「待っててね」と言えば、確かにおとなしく待っているのだが、きりなく待っているらしい。食べ物だけでなく本を読むのも絵を書くのも、すべて「ちょっと、待っててね」「あとでね」と言うと待っている。

 私が忘れてしまっている時でも、だまって、ただいつまででも約束した私の言葉を信じて待っているだけで、さいそくらしいことはしない。

 そういう時、順子の方は約束を決して忘れないように感じる。私がふと思い出して順子を見ると、その瞬間に私が約束したもの、本とか、折り紙とか、画用紙とかを持ったり、見たりするからだ。

 時間の経過の量が分からないかもしれないから、どの程度に長く感じて待っているのかがわからないけれど、精神薄弱児が際限なく待つのであれば、周りにいる人間が精神薄弱児を待たせる時には、忘れないように気をつけてやらなければいけない。

精神薄弱者のかすかな意思表示を読み取れる施設を創りたいと思っています。

幹子

 

96/01/10 もし、当時知り合ってたら/ゑまのん

明るくおだやかな色調で、主体がはっきり分かる絵。言葉の数が少なくて、しかも物語性があって心に何かが響いて来るような本が欲しい。

とのことなので、『春風の太鼓』を薦めます。今でも順子さんが絵本好きなら、やっぱり薦めます。どういう絵本かというと(ガサゴソ...)

風邪を引いて寒くてたまらないウサギさんが、
クマの楽器屋さんのお店に行って
「何かあたたかくなる方法はないですか?」とたずねると、
クマの楽器屋さんは、
それなら、いい楽器がありますよ」と大きな太鼓をもってきて、
ウサギさんが、ど〜んとたたくと、ふぅっとあたたかくなって、
また、ど〜んとたたくと、もっとあたたかくなって、、、
何回も何回も、どど〜ん、どど〜んとたたくと、ポッカポカになって
何時のまにか、風邪がどこかにいってしまいました。

というお話。お読みになりたいようでしたら、今度のオフにでも、陽子さんに託しますねヾ(^_^)

明けまして(^_^)ゑまのん

 

96/01/12 ゑまのんさんへ/幹子

ありがとうございます。

順子は今も絵本が好きです。
『春風の太鼓』ありがとうございます。

でも、彼女は、「お借りする」ということを、理解できず、手に入ったものは自分の物だと思ってしまって返しません。

お手数をおかけしますが、出版社を教えていただけたら嬉しいです。

幹子

 

96/01/17 「はるかぜのたいこ」は/ゑまのん

「金の星社」が出してます。実は、つい先日、陽子さんと出会うような気がしたので、近所のフレーベル館と紀伊國屋書店に問い合せたところ両店とも取り寄せ扱いでしたので渡せませんでした(^_^;)

でも、今度の25日の「新年OM」で構わなければ、順子さんへのプレゼントとして持っていきますが、いかがでしょうか。順子さんが今でも「絵本好き」と知った途端、絵本好きであるワタクシ、お近づきの印に1冊進呈したくなりましたのでヾ(^_^)

「赤塚不二夫好き」だけじゃない(笑)ゑまのん

 

96/01/17 デパートでの迷子/ゑまのん

うちの子も、まだ小さかった頃デパートで迷子になったことがあります。が、本人に迷子の自覚はなく「お父さんが迷子になった」と売場の人に説明したそーです。

その子が、も少し大きくなったときのこと。坂戸のイトーヨーカドーで母親から離れてしまったのに気付いた途端、「○○子さーん」と遠くのほうから大声で呼びかけたとか。

母親が赤面しながら(^_^;)「どーしてお母さんと呼ばないの?」と問うと、「だって、ここにお母さんは一杯いるけど、○○子さんは一人しかいないから」。いやあ、この子にしてこの親ありでございますなぁ(笑)・・・(私のことョ(^_^;))

とまあ、ハキハキしている子どもの場合は迷子になってもいいんですが(よくないって(^_^;)、新年初売りのイトーヨーカドーでのことです。

レコード売場で物色していたところ、何やら通路の方から誰かの怒鳴り声が聞こえるのですね。時々怒鳴っては静かになる。どうしたのかぁと思ったんですが、売場の人が動くワケでもなし。気にするのを止めまた眺めていました。で、帰ろうと思って外に出たら、通路のファミコンの売場の前で、大人のような子どものような人がまたしても怒鳴ってます。

どうしたんだろう。怒鳴っぱなしならまだしも急に静かになったりで、“電波を受信している人”(ホラ、電車にそーいう人が乗ってませんか。一人で喋って一人で怒っている人とか、複数の声色で一人で罵り合っている人が。以前よりもそーいう人が増えているような気がするんでずが私は“電波を受信している人”と勝手に呼んでます(-_-;))だったりするとヤダなぁ、と思ったんです。でも、どうも、その手の人とは違うみたい。第一、目が座ってない(^_^;)

うーむ。知的障害の人かなぁ。これが、1月号の『みんなのねがい』に書いてあった「パニック」ということかなぁ。でも、一人で来てるハズないよなぁ。きっと、誰かが一緒なんだよなぁ。それに、こーいうときには、お店の人が対処すべきであって、私ゃただのお客だゾ。これから帰って夕飯も作らなくちゃいけないし・・・(冬休み中、何故かずっと食事を作る人だったのね(^_^;))

と(自分に向かって言い訳しながら)エスカレータをくだって行ったんですが、下の階まで降りたところでやはり気になって(こーいうとき、青りんごさんやUmeさんなら、何気なく、極く当たり前のこととして声を掛けられるんだろうなぁ。これは、大それた事ではなく、普通の事なんだョ…とチョッピリ思えて)連れ合いに「ゴメン、戻ってもいい?」とお願いすると、同様に気にしていた連れ合いも、うなずいてくれました。

で、4Fに戻ったら、ファミコン売場に居ません。そーか、もう大丈夫なんだ…とホっとしたのも束の間。今度は、階段のほうから怒鳴り声が聞こえます。うっ、「戻ってもいい?」とは言ったものの、実際にどう対応したらいいのか判らないし、困ったなぁと思いながら行きますと、階段の手すりに顔を埋めて怒鳴ってます。さーて困った。どう話し掛けたらいいんだろう(逡巡)

でも、ここで再び、青りんごさんとUmeさん。きっと二人なら…と、二人の口調に依拠しながら、「どうしたんですか?」と尋ねてみました。すると、「おばあちゃんに叱られた」と涙をポロポロこぼします(連れ合いに言わせると、それまでの雰囲気が一変し、質問された途端、晴れ渡るような笑顔になっていたそうです)

どうやら、ファミコンを買ってほしいと駄々をこねたら置いてきぼりにされたらしいんです(^_^;)。落ち着きを取り戻したケンイチロウくんとファミコン売場でおばあちゃんを探しましたが、見当たらないので館内アナウンスを頼みました。その間、ケンイチロウくんに聞いたところによると、ご両親は居なくて、おばあちゃんといる。坂戸作業所に行っている…とのことでした。

10分ほどしておばあちゃんがやってきました。途端にケンイチロウの「ファミコン買ってちょうだい!」が始まり、振り出しに戻って叱られました。そりゃ、おばあちゃんだって、大きな子どもが駄々をこねたら怒りたくもなるよなぁ(^_^;)

それにしても、両親が居ないと、どんなに年老いても、おばあちゃんがその子のお世話をしなくてはいけない現実(ケンイチロウくんの二分の一ほどのトテモ小さいおばあちゃんでした)。そして、おばあちゃんにしても何時かは居なくなる日がくる。その日からは、誰がいったいケンイチロウくんの面倒を見るんだろう…。

家族の(犠牲的)努力によって(家族だって、一人の人間として「健康で文化的な生活」を送る権利があるハズだ!)、社会生活が維持されている状況のままではいけない。安心して老後を迎えることの出来る社会にしなくては、とケンイチロウくんを叱るおばあちゃんを見送りながら、思ったものでした。

ケンイチロウくんに、ケンイチロウくんたちに、来年も再来年も10年後も20年後も、明るい正月を!

ゑまのん

 

96/01/17 迷子の蛇足(^_^;)/ゑまのん

そーいや今年の「何とかまつり」で「川越市からお越しの○○さん」というアナウンスがありました。

「あらら、もう終わる時間だってのに、今から阪神大震災のコーナーを見に行くと駆けて行った○りんごさんに随分良く似た名前の人もいるもんだなぁ。実は、お父さんのほうが迷子だったりしてー」と冗談のネタにしてたんですが(^_^;)、後日聞いたらまさにその通り。結局は置いて行かれて一人で帰ったそーです。

いやあ、子どもだったら見つかるまで探してもらえるのに、大人になると置いてきぼりになっちゃうのね、気を付けなくっちゃダワ。と、あらためて、大人になることの悲哀を感じた私めでありました。鳴呼、それにしても可愛そーなカワイソーナ○りんごさん(;O;)モライナキ

匿名希望の(^_^;)ゑまのん

 

96/01/20 代理ですが/陽子

ゑまのんさん。レス有り難うございます。
母が流感で寝ているので、代理です。
迷子のお話シリ−ズ、面白かったです。

もしかしたら、おばあちゃんは、ケンイチロウくんが、毎日同じファミコンを買いたがるので、頭にきたのかもしれません。(一度ではすまない、ということがあるので。)

しかし、、、「○○子さ−ん」と呼ぶのは、いいですね(^_^)。

ではでは25日に。(行けるかな? 仕事が...(;_;))
私からも、なにか、お近づきの印をもっていけたらよいな−。

アマゾネス陽子

 

96/01/22 「○○子さ−ん」/ゑまのん

もしも、横浜で陽子さんと擦れ違うことがあったとする。

10メートルほど行き過ぎてから気が付いたとする。慌てて呼ぼうとする。

が、待て。港にゃ陽子と陽子スカと陽子ハマと誰かが歌っていた。

ここはヨコハマ

一斉に陽子と陽子スカと陽子ハマが押し寄せてきたら大変だ(特定陽子さんだけなら歓迎 ^_^)と考えた私は、420分の1秒後に別の名前で呼ぶことにする。

「アマゾネスさーん」(爆笑)

25日まで匿名希望(^_^;)

 

96/01/27 ありがとう じゆんこ

おともだち
えまのんさん
ありがとう

うさぎ マスク
寒い寒いです
かわいそう
私しんぱい

お姉さんと
読みました

お母さんと
お父さんと
私と
読みました

うさぎ
寒くない
あんしんました

じゆんこ

 

96/01/27 ゑまのんさんへ/幹子

ゑまのんさん

順子に『はるかぜのたいこ』のプレゼント、ありがとうございました。

単純な絵のようですが奥行きがあって、やわらかい色調がふわっとあたたかくて、こういう絵本がほしかった、と、心から思いました。

たいこをたたいて目をとじるときの、あの色、「あ、うさぎが日の光の方をむいている」と感じます。

小さな小さな兎が、広い画面の中に溶け込んでしまいそうなのに、しっかりと存在していて、「ああ、いいなあ、−ん、こういう描き方って、う−ん、いいなあ。」

いい絵本は、年齢に関係なく楽しめるものですね。

幹子

P.S.
オフ会のパキパキサラダ
とってもおいしかったとアマゾネスが申します。
つくってみたいのですが、上手につくるこつを教えてください。

PS.
ケンイチロウくんとオバアチャンにおだやかな日々がありますよう祈っています。祈るって、とても虚しくて、でも、祈ります。

 

96/01/30 じゅんこさん え/ゑまのん

おともだち
じゆんこさん

うさぎさん
よかつたね

うさぎさん
さむくない
よかつたね

じゆんこさん
あんしん
よかつたね

おねえさん
おかあさん
おとうさん
じゆんこさん
あんしん
よかつたね

おともだち
えまのん

 

96/01/30 喜んでいただけて(^_^)/ゑまのん

喜んでいただけて何よりです(^_^)

しかも、あそこまで受け止めてくださるなんて、紹介者冥利に尽きます。またまた紹介したくなりました(^_^)

つ・ま・り、次の機会にはもう1冊プレゼントということです(^_^)/

第1候補は、
『どうぞのいす』
香山美子 作
柿本幸造 絵
ひさかたチャイルド

第2候補は、
『ごろりん ごろん ころろろろ』
香山美子 作
柿本幸造 絵
ひさかたチャイルド

第3候補は、
『ぞうくんのさんぽ』
なかのひろたか さく・え
なかのまさたか レタリング
福音館書店

第4候補は、
『もりのなか』
マリー・ホール・エッソ ぶん/え
まさき るりこ /やく
福音館書店

この中からドーゾですが、全部というのもとーぜんアリです(笑)

とはいえ、順序としては、『ごろりん』の前に『どうぞ』ですね。あと『ぞうくん』は夏の暑い盛りに読んだほうが楽しいと思います。象って鼻でシャワーしますものね(^ノ^)

それと、『もりのなか』は、どこかで読んだことがあるんじゃないかと。

よろしかったら、順子さんの愛読絵本を紹介していただけませんか?

それによって、例えば『ふんふん なんだか いいにおい』とか『とりかえっこ』を楽しんでもらえるかどうかの“絵本理解の発達度”が判りますから。

あっ、“絵本理解の発達度”なんて言葉はないです。たった今の思い付き(^_^;)。でも、その子どもと直のコミュニケーションが困難であっても、その子どもが“どういう物語世界に心をふるわせるのか”を知ることで、その子どもの心の有り様にお近づきになれるように思うのです。

それとその子どもの現在の姿が大人の目から否定的に見えることがあっても、その子どもが“こういう物語世界に心をふるわせている”と知ることで、その子どもの発達の可能性を知ることができるのでは、と。

思い付いただけですから、反論されたらひとたまりもありませんが(^_^;)

まあ、そんなワケで、第1回配本は「連載200回記念オフ」ですね。

幹子さんと順子さんへの「初めまして」が楽しみですヾ(^_^)

ゑまのん

P.S.
「パキパキサラダ」は、オフミボードのほうにコツ共々載せましたのでどーぞ、ご覧くださいマセ(^_^)

 

96/02/03 ありがとうございました/幹子

ゑまのんさん

順子は、今回、ワ−プロの中にお手紙が届くことを理解しました。
「ともっち」「と、も、だ、ち」と言いながら、嬉しそうにノ−トをもってきてゑまのんさんからのお手紙を書きうつしました。

「おともだち えのまん」と書きました。
「ともっち、ちさ、おおおっお?」(おともだちは小さい男の子かな)

絵本の紹介をありがとうございます。
よい本をみつけられなくて困っていました。
おしえていただくのが何よりのプレゼントです。
さっそく注文します。(タノシミタノシミ イソイソ)

『ふんふん なんだか いいにおい』
これもいい絵本ですね。何年前に買ったのか覚えてないのですが、その頃は意味がわからないらしく途中で飽きてしまいました。最近は、おおかみの子に話しかけたり同情したりします。彼女の表情を見ると、おおかみの子といっしょになって、はずかしそうにお母さんにだかれたり、自分がお母さんになって、おおかみの子を優しく抱いてあげたりしているように思えます。「絵本理解の発達度」によって絵本を選ぶって大切なことですね。

精神薄弱児の場合、長い年月をかけて興味を広げていきますから記録は可能だったはずです。どの本を何年に与えたか、その本のどこにいつ興味を持ったか、を、メモしておけばよかったと、今、思っています。

近いうちに順子の好きな絵本を書いてみます。

また何かよい本を紹介していただけそうで、なんて、期待してます。(*^^*);

P.S.
ジャガイモと胡瓜は冷蔵庫、レタスとミニトマトもある。
あ、明太子買ってこなくっちゃ!

音楽に、絵に、お料理に、
そう、ゑまのんさんは、きっと空も飛べる!

幹子

 

96/02/06 ともっち、おさ、おおおっお/ゑまのん

ゑー、「おともだちは大きな男の子」のつもりです(^_^;)

もっとも、順子さんにワープロの中からコンニチハするときは、こんな書き方をするとかえって理解困難でしょうから(^_^;)、極く普通の書き方でパコパコします。

あと順子さんに書くときですが、「じゅんこ」と 「じゆんこ」と、どちらがよろしいでしょうか?

前回は、順子さんの表現にならって「じゆんこ」と記しましたが、書けないことと理解できないこととは別でしょうから、順子さんの発達にとって望ましいほうを お示しください。せっかくワープロの中にお手紙が届くことを理解してくださったんですものね(^_^)

あら、「さっそく注文」ですか! となると、次にはご対面のときには別のを持参しなくちゃいけないってことですね。私ゃこーいう挑戦なら逃げませんので(笑)、何を持っていくのか、お楽しみにどーぞ(^_^)

をっ、『ふんふん なんだか いいにおい』が合格となると、オススメの幅が広がったような。この絵本の登場人物たち(登場動物かな(笑))の困惑や嫉妬に感情移入できるなんてイイですねー。少なくとも、絵本の理解に関してだけは、けっこう発達しているように思ゑますョ。ハイ、順子さんの「好きな絵本」の紹介が楽しみです(^_^)/

ところで、順子さんは、ワープロの中に手紙が届くことを心待ちにしているのでしょうか? もしそーなら、「手紙」を電送しますので(^_^)

音楽に、絵に、お料理に、
そう、ゑまのんさんは、きっと空も飛べる!

言い換えると足が地に着いていない(笑) ゑまのん

 

96/02/06 200回目への感想(^_^)/ゑまのん

・・・も、少しは書かないとね(^_^)、ということで短文レス(^_^;)

書いてあった

 学校に行けば大好きな先生に会える、ということは、低学年の子どもにとって重要なことだ。

ですが、子どもたちが、「学校に行けば大好きな先生に会える」と、朝から張り切っている事実を、その大好きな先生にも知らせてあげたいなぁと思いました。たとえ今からでも、前野先生に、、、。

今、前野先生がどうしているかは知りませんが(いずれは1996年に生きる前野先生が登場するのかもしれませんが)、前野先生が仕事なり何なりで困難に出会ったり無力感にとらわれたりしたときに、「学校に行けば大好きな先生に会える」と子どもたちから慕われていた、という事実は、きっと先生を励ますと思うんです。

というのもです。実は、私の連れ合いは、幼稚園就学前の子どもたちのための「幼児教室」を担っているんですが(ってのは以前「ひろば」のほうにも書きましたね。それが毎週木曜日だから、阪神大震災での入力ボランティアは木曜日だけは遅くなると。デ ハナシヲ モドシテ(^_^;))

最初は手伝いだったハズなのに、担っていた人たちが夫の転勤や本人の就職で抜けてしまい、それ以来3年間、一人で準備し運営してるんです(元幼稚園教師:1級免許、だから素地はあるんですけど)

でまぁ、毎週毎週、教案準備で夜遅くまでガンバッテるんですが(んで当日の朝、私を起こして披露し感想を求め心の準備をする。まっ、ただ叩き起こされるより、クマさんやリスさんやゾウさんに起こされるので目覚めが心地良いですが(笑))、ときどき疲れちゃって、私が一人で! どーして!!手伝いだったハズなのに!!!と、爆発するのです(^_^;)(・・・ムリ モ ナイ コトダ)

でも、今でも続けているんですが、去年の春の「卒村文集」(チロリン村幼児教室だから「卒村」なのね)に書いてあった、お母さんの一言。

「何時もはグズついてなかなか起きない娘なのに、毎週木曜日になるとチロリン村で大好きな○○先生に会えるとハリキって飛び起き、いそいそと自分でポシェットにハンカチを詰めて準備しています・・・」

また力が湧いてきて、今年度も「チロリン村」を続けています。ただ今14人の子どもと、そのお母さんたちの参加(←公園デビューできないお母さんたちの救済の場でもあるのョ)。あっ、色画用紙や糊といった教材の実費以外は無料よ。とーぜん無給(笑)

でナニを言いたいのかと言うと(をぃをぃ)、自分のしているやり方で良いのか、果たして子どもたちの心に届いているかどうか、教師の側が自信を持っているとは限らないということです。

教師がいかにシャンとしているように見えようと、内心では忸怩たるものがあったりするカモシレナイし(でしょ)、んもぉヤメたーい寸前まで追い込まれているかもしれません。そういうとき、実は、子どもたちに愛されていると知ったら、必要とされていると知ったら、勇気が湧くと思うのです(^_^)

でも、それは相手の理解できる言葉となってヨーヤク通じるのであって以心伝心なんてよっぽどじゃないと難しいのです。特に、自信がない人、自信を失っている人、いい人なんだけど小心で気が小さくで大人しくて恥かしがり屋で内向的な人には(^_^;)

パソ通だってそーですよね。書かないことには届きませんもの。

(それで、書いたことが通じるかどーかというと、それはまた別の話ですから、金ベエさんも大変ですが、それにしたって先ず書いてこそ。遅レスだってしないより!ですね(^_^))

まぁそーいうワケで、200回目を迎えたこの連載をお読みの皆々様におかれましても、たまにはひとつ感想などを。読まれているということだけで励まされるものですよ、書き手としては。20年前の幹子さんを励ましてたあげましょうねヾ(^_^)

ゑまのん

 

96/02/11 おっい おおおっお/幹子

ゑまのんさん
いつもありがとうございます

順子は、とても機嫌がよい時には、私といっしょに、ワ−プロの平仮名をさがしさがし打ちます。

「『お』はどこにあるかな? おかあさんとどっちが速く見つけるかな?」
「あったね、じゅんちゃんのほうが見つけるの速いね。」

「お手紙のお友達のゑまのんさんは、大きい男の子なの。」
「おっい、おおおっお?」(おおきい おとこのこ?)
「大きい男の子のゑまのんさんから、また、お手紙来たら嬉しい?」
「ん」

順子がニコッと笑いました。

順子は、鉛筆で書くとき、小さく書く字は小さく書きますが、ワ−プロでは小さい字を書くことができません。彼女は、いつもは自分の名を漢字で「順子」と書きますが、オムレツの上にトマトケチャップて書くときは「じゅんこ」と書きます。

以前から漢字を書くのが好きでしたから、変換のキ−を押して、ディスプレ−の文字が自分の思った通りの漢字に変わると「フフッ」と笑います。

順子は、とても気分が良いときにだけ読みます。せっかくゑまのんさんが書いてくださったのに、機嫌が悪くて読まなかったらどうしましょう(・・;)

彼女は、書いてある文字よりも書きつつある文字のほうが良く読めます。それで、いただいたお手紙を、ワ−プロで、1行ずつ現れるようにして読ませました。1字ずつゆっくり現れるようにできるコンピュ−タならもっといいのですが。

絵本はどの程度まで読めているのか、ハッキリしませんが、1ペ−ジに1行か2行書いてあるもので、1行の字数が少なければ、単語や文の意味を理解します。

順子が「読ムでね」と持ってくる本を書いてみます。「読ムでね」と言う本は、20年以上前に買ったものもあります。(語尾の活用が難しいらしいです。「行クない」は、最近、漸く「行カない」と言うようになりました。)

「わたし おてつだいねこ」
竹下文子作/鈴木まもる画
小学館

いちばん好きな本です。「あたし、ねお」(私は猫)といいながら嬉しそうに食器運びなどのお手伝いをしています。

「ママがもんだい」
バベット・コ−ル作
あかね書房

「せんたくかあちゃん」
さとう わきこ 作・絵
福音館

「11ぴきのねこ」
馬場のぼる作
こぐま社

「くまのコ−ルテンくん」
フリ−マン作
偕成社

「とっちくんのカレ−ようび」
まどころ ひさこ作/やまもと まつこ絵
ポプラ社

「だいちゃんのちびねこ」
やまもと まつこ作・絵
ポプラ社

「おとこどうしのおるすばん」
梅田俊作/佳子 作・絵
岩崎書店

「ねえ おきて」
さとう わきこ 作・絵
ポプラ社

「ね、おちて。おねあい」
(ねえ、おきて。おねがい)
「お−じ、あったわ、ね、おちてね−!」
(用事があるから、ねえ、起きて)

最近買った本

「はいしゃさんどきっ わにさんどきっ」
五味太郎
偕成社

歯医者さんが隣家のおじさん(私の兄・紅のやかん)と瓜ふたつ、親しみを感じたようです。

「ぼくびょうきじゃないよ」
角野栄子作・垂石眞子絵
福音館書店

順子が心配したり笑ったりしました。

「うんちしたのはだれよ!」
ヴェルナ−・ホルツヴアルト文/ヴォルフ・エ−ルブルッフ絵
偕成社

順子の複雑な表情  ドイツの絵本の結末には!でした。

好きな本は、家庭の中の話、猫の話、が多いです。

好きになれない本は、学校の話、登場人物(動物)が外国の名前のもの、です。

P.S.
一年生の終わりに順子を休学させてから後、前野先生にお目に掛かっていません。

ダ−くんのお母さんから、前野先生は2年後に普通学級の先生になられた、と聞きました。普通学級でも、きっと子供たちにしたわれる先生になっていらっしゃることと想像いたします。

何年か後、「特殊学級の同窓会に、前野先生が出席してくださったのよ。」と、話す電話のダ−くんのお母さんの声が嬉しそうでした。

順子のママは今も感謝している、と、風の便りで前野先生(仮名)に届きますよう、願っています。

チロリン村の○○先生にお目にかかりたくなりました。

何時もはグズついてなかなか起きない私、チロリン村の○○先生に会えるなら、私もいそいそと自分でハンドバックにハンカチを詰めて準備します。と、○○先生にお伝えくださいませ。

幹子

 

96/02/21 代理UP(^_^;)/ゑまのん

以下、連れ合い氏よりのお手紙を原文のまま。

どうしても、訂正とおわびをさせていただきたく、余計な人間が書かせていただきます。

1.ゑまのん氏は私が幼児教室を、3年間ひとりで担っていると書いていますが、実際には1年半です(但し、私が彼に3年にも感じるほどに愚痴や泣き言を言い続けたということはあり得ます…情けない)。

2.チロリン村のお母さんが書いて下さったというあのステキなセリフは、残念ながら文集のどこを捜してもみつけることができませんでした。ゑまのん氏はどこであんなにしっかりと勘違いをしてしまったのでしょう…?

3.「水曜日の夜は夜中まで準備のために云々」とありましたが、月曜日、火曜日怠けてたから、あるいは水曜日、昼寝をしていたから…かもしれないことを、昼間、家にいない彼にどうしてわかるでしょう(夜だってあまりいないのに)。

 彼の生きがいであるパソコン通信に妻の私がしゃしゃり出るなんてほんとにみっともないこと、でも上記の事柄は日頃、私が「こんなだったらいいのに」と思い描く理想像であって決して現実の私ではないから、特にじゅんこママが書いていらっしゃる、「ハンドバックにハンカチをつめて」を読むに至ってはもう、いても立ってもいられない気持ちなのです…。

 私は毎年3月に卒村文集が出るたびに「○○先生に会いに」と書いてくれてる人がいないかなあと捜してしまいます。でもあるのは他の先生に対しての感謝のことば……そのたびに私は、私はだめなんだ、だめなんだとくよくよしていました。一人になってからも幼稚園の先生だった若いお母さんが上手にパネルシアターなんか作ってくださると、協力をしていただいたことに感謝しながらも、自分と比べてみじめになってしまうような情けない人間なのです。

 でも最近やっとすなおに思えるようになりました。私の仕事は、私が成長してみんなにほめられることではなく、かかわってくださる大勢の方と力をあわせてその活動を維持し、育てていくことなのだと。

 せっかくボードを見せてくれたゑまのん氏に「今度から私のことを書く時は事前に言ってね」ときつ〜く言いました。

 けれど、このことを通じてひとつ「いいこと」がありました。それは「君は一生懸命やってるじゃないか、仕事もして(時々ホント時々ワープロ)家事もして、『チロリン村』もやってるんだから」と主人が言ってくれたことです。

 え〜?、家の中はちらかってる、すぐ「疲れた疲れた」と言う、日曜日の晩ごはんを主人に作らせる(おいしい!)、すぐギャーギャー怒る(他にもあるけどはずかしくて言えない)私なんて、どんなにウンザリかしらと思っていたのに……。

 結婚15年半、婚約記念日を前にしてほんとうに思いがけないプレゼントでした。

 すごく恥かしくて、「あなたは他の奥さんがどんなにしっかりやってるのか知らないのよ」と言いましたが、あとで思いました。彼は他人と比べることなくこの「私」を見てくれる人なのです。

長々と勝手なことを書きました。おゆるしくださいませ。

P.S.
「小さい男の子」でも「大きい男の子」でもない人がそういう事を書いてはいけないと思います。「わしもむかしは若かったんじゃがなあ〜」という書き方の方が、じゅんこさんのイメージがはっきりすると思います。

以上、連れ合い氏よりの手紙、でした。

 「わしもむかしは若かったんじゃがなあ〜」ゲホゲホ(。。;) ゑまのん

順子さんに、トンビやタカの仲間だと思われたりしてー(笑)

P.S.
勘違いさせた原因(?)に付いては、今後のノートで(^_^;)(ポリポリ)

 

96/02/24 たのしみたのしみ/幹子

ゑまのんさん

○○先生のすてきな訂正のお言葉、ハンドバックにハンカチを、もう一枚、つめこみ!

「今後のノートで(^_^;ポリポリ」
たのしみ、たのしみ。

注文した絵本が入った、と、やっとこさ、さきほど、本屋さんから連絡がありました。
たのしみ、たのしみ。

幹子

 

96/03/01 「どうぞのいす」読みました/幹子

ゑまのんさん

紹介していただきました絵本4冊とどきました。
はじめに『どうぞのいす』(ひさかたチャイルド社)を読みました。

順子は、ベ−ジュの兎のぬいぐるみを抱いていっしょに見ています。
彼女にとっては、文字が多いので、自分で、行を追って読むことはできませんが、私が読むのを聞きながら絵を見ています。

「うさい、か−い−なぁ。」(うさぎ、かわいいな)
「うさい、じゅじゅね、おいお−ね−。」
(うさい、じょうずね、おりこうね)椅子を作っている場面です。
「おもし−な。」(おもしろいな)
「か−い−なぁ、か−い−なぁ」の連発です。

今、『はるかぜのたいこ』といっしょに、そばに置いています。

紹介していただいた絵本は、どれも、友達とのやさしい出会いや交流が描かれています。幼い子供たちの心に「思いやり」の種がまかれることでしょう。順子の絵本は、今まで、家族を題材にしたものが多かったので、少し興味の範囲が広がりそうです。

順子の気持ちは、どうやら開閉式になっているようです。「おたあさ・ん」と「ん」を強く言うときは要注意で、しかめ顔でころがっています。機嫌をとろうとすると、もっと不機嫌になります。知らん顔していると、「ケケケ ククク」と笑い、急に晴れやかに「ママ、ママ、おたあさま」と呼びます。

彼女が心を開いたときをみはからって1冊ずつ読んでいきます。

あとの3冊、彼女に早く渡したくなりました。

感謝をこめて 幹子

『ぞうくんのさんぽ』(福音館書店)

ほんと、いいデザインですね。歩いている場面の、進行方向の狭さが、期待とともに次のペ−ジにつながって、何ともすてきです。

位置関係の効果で、ふと思い出したんですが、

羊飼いの少女の絵の、(ミレ−だったっけかな?)ヒトリゴト
うつむいた少女が、画面の右に描かれていて、この場合、「ぞうくんのさんぽ」とは逆で、向いている側の狭さに、日常からのがれられない悲しみのようなものを感じました。

順子にないしょで先に読んでる 幹子

P.S.
あれからすぐ、パキパキサラダ作りました。美味しいですね。

一部をホンディユ風に、メンタイマヨをパキジャガスティックの先につけながらいただきました。明太子の粒が沈まないので、時間差のある食卓にはよさそうです。

ぬかづけにしてみたもの

セロリとブロッコリ−の太い茎(皮をむいて)は美味しいです。
カリフラワ−はおいしくないしピ−マンはすっごくまずいです。
タマネギはつかりごろになると美味しいけれど、
ぬかどこ全体がひどく臭くなるのでやめました。

これ、ケサラでした。幹子

 

97/04/18 重度精神薄弱児順子とその周辺(258)/幹子

だらしない生活

 起きたい時に起き、寝たい時に寝る。顔も拭かず歯も磨かず、着替えたくなければ一日中パジャマでいる。「顔を拭きましょう」「着替えましょう」などと誘えば、「な−い」(いや)と小さな声で言う。

 入学前には、何でもされるままになっていたが、扱いにくくなった。登校時間に間に合わせようとして追い回し過ぎた結果だろうか。それとも、反抗したい年齢になったのだろうか。

 人は、幼児期に、家族に甘えたり要求したりするなかで自然に声を発すると思う。家族との心の交流が希薄な順子が、家族に甘えるようになったら、少しは言葉が発達するかもしれない。しかし、彼女は、相変わらず家族に係わろうとせず、目も上げずに黙っている。

 退学してからの順子は泣くことはなくなった。

 食事は、皆であやしながら食べさせていたが、今は「御飯ですよ」と声をかけるだけで、順子の機嫌をとってまで食べさせようとはしない。学校の給食では、何でもよく食べたのに、今は好きなものだけ食べている。一日中バナナだったり、一週間オムレツだったり、野菜はトマトだけになったりする。私の出来ることといえば、オムレツの中に野菜のみじん切りやしらす干しを入れるくらいのものだ。

 内科の武正医師は、体に必要になれば自然に欲しくなる。一年を通してみればまんべんなく栄養をとっていることが多いから、あまり心配せずにしばらく様子を見たらどうか、とおっしゃる。入学前は好き嫌いが無かったから、気持ちが落ちつけば治るのかもしれない。

 

みんな順子のもの

 順子の好きな食べ物は、たくさんあっても、順子一人のものになってしまう。

 例えば、昨年の9月のこと、順子のためにバ−スデ−ケ−キを買ってきた。切ってみんなで分けようとしたら不機嫌な顔をする。彼女は、「じゅんちゃんおたんじょうびおめでとう」とチョコレ−トで書いた大きなケ−キを危なそうに抱えて自室に運び込んだ。

 様子を見にいくと、しかめ顔でにらむ。甘えの一種の「わがまま」だとは到底思えない雰囲気で、まるで獲物をかかえて取られまいと威嚇する動物のようだ。

 バ−スデ−ケ−キには「じゅんちゃん」と名前が書いてあるから、自分のものだと思ったのかもしれない。何時間もかけて、とうとう一人で全部食べてしまった。

 ケ−キを期待していた長女は、泣きだしそうな顔で我慢していたが、「よくあんなに食べられたわねえ。」と、あきれかえって笑いだした。

 休学してからは、順子がどんなに不機嫌になっても、長女と半分ずつ分ける。順子がお姉さんより優先されることのない生活にしなければ、長女のほうに問題ができそうだ。甘えない順子が、家族を家族として認め甘えてくれたらいいとは思うが、長女と順子が平等だという、そのことだけは、絶対に譲ることはできない。

「お姉ちゃんと半分ずつよ。」

と、厳しい調子でいう私に、順子が唸り、長女が縮こまる。

「わたし、食べたくないから。順ちゃんのにしていいよ。」

と、長女が口を少しへの字にして無理に笑顔を作る。

 その度に順子がわめき、すったもんだしたあげく、ケ−キをつかんだ順子の勝ちになる。すべて順子の気が向くままの生活の中で、私は、姉妹平等というたった一つだけの我が家の憲法を、何が何でも作ろうとする。

「もういい。無理に躾けることはない。分かるときがくれば分かるんだ!」

と、夫。

「そりゃあ誰だって分かるときは分かるわよ。知ってる人だけが知ってるのと同じよ。」

私はいらいらして言いかえす。

 

半分

「これはお姉ちゃんケ−キです。順ちゃんも欲しいかな。それじゃ、これはお姉ちゃんのケ−キだけど、順ちゃんに少し貰いましょう。」

と、所有権はお姉ちゃんにあることを強調。

「お姉ちゃん、お姉ちゃんのケ−キ、順ちゃんにも分けてあげてね。」
「いいよ。順ちゃん、半分こしよう。」

順子は、真に有り難そうな顔をして、お姉ちゃんからケ−キを半分受け取った。

「あっとう。」(ありがとう)

あとの半分はお姉ちゃんのものだと分かっている。
二人で機嫌良く食べる。

成功だ。

うまくいった、
と、思ったが、
しかし、何となくうしろめたい。

これでは、
二人が常に平等だ、と、言う、
私が教えたかった憲法の意味は無くなり、ねじれている。

(1970年代のメモより)幹子

P.S.
 現在順子は32歳です。いつの頃からか、彼女は食べ物を家族で分けることができるようになりました。

 長女はまだ帰って来ません。私が、箱に一つ残った長女のぶんのケ−キをお皿に乗せてラップすると、順子は「おねえしゃん」(おねえさん)と言って冷蔵庫に入れてくれます。

しばらくすると、順子は、冷蔵庫のおねえさんのケ−キがとっても気になってきます。

「ねんねケ−キ、おねえしゃんのの。」
「た−そ」(かわいそう)→(とったら、お姉さんがかわいそう)

等と言いながら、そっとラップの端をめくってみます。

「順ちゃん、欲しかったら食べてもいいよ。」

と、私がそそのかしても、おねえさんのケ−キは絶対に食べません。

何回も何回も順子に見つめられたお姉さんのケ−キは、苺がずり落ち、すっかり角もとれて、それはもう、、、。

お姉さんが帰ると、

「ケ−キ、ねんね、ケ−キ、どど。」(おねえさん、ケ−キ、どうぞ)

ずうっとそればかり思っていた順子は、部屋から飛び出してきて、さっそく冷蔵庫からケ−キを出し、嬉しそうに、お姉さんにわたします。

「順ちゃん、ありがと。」

お礼をいうお姉さんより、順子のほうがずっと嬉しそうな顔です。

順子が守りきったケ−キです。
どんなに崩れていても、です。

幹子

 

97/05/02 「近況報告」に近況報告(^_^;)/ゑまのん

「オフミの女王」との異名をとるアマリリス嬢、「PCVCの大オフミ大会」にもかかわらず御無沙汰なので、どうしてるんだろうとは思ってましたが、「泣く子と盲腸には勝てない」だったんですね(^_^;)

「お大事に」とお伝えください(とっくに回復してるでしょうが(笑))

さて、こことも去年の「訂正」以来、何となく御無沙汰でしたが(^_^;)
ここらで心機一転仕切り直し(^_^;)、昔のアレは忘れましょうね(^_^;)

祝「退学」(^_^;)ゑまのん

オマケ

今回、

順子が、少しでいいから、幼い心をユ−モラスな言葉で伝えることができたらいいと願う。

とありましたが、前に書いていた、

お風呂からでた順子が
「おっぱい、2、」
と、言うので
「もうひとつ増えるといくつかな?」
と聞いてみました。
「おあいなあ」(こわいなあ)
「正解! 怖いねえ」

なんて傑作です。ユーモアを意識しないで発したものでしょうが(^^ゞ

オマケ2

「太くんの場合、もし落ちたら、あの巨体では衝撃で骨を傷めるから、無理に高い所に乗せないほうがいい。怖がるのは怖がるだけの理由がある。人間は怖がるから怪我をせずにいられるんだ。他の、例えば体操や水泳のようなもので、まず、体を整えるのが先だろうな。」

と書いてあったことで、「グレートさんを見直しました」とお伝え・・・なんかした日にゃー、幹子さんには薮蛇か(笑)。
でも、「見直した」のはホント。けっこうグレートな側面を持った方じゃないですか(^_^)

 

97/08/28 「言葉」って難しい(コトモアル(^_^;))/ゑまのん

今回の幹子さんの書き込み、

障害者自身やその周辺が言葉に過敏になれば、それ以外の人は、障害者と付き合うときに、先ず言葉に気をつけて疲れてしまう。それではお互いにマイナスになる。

悪意の言葉は論外として、例えどんなに言葉が悪くても、障害者のことを思ってくださる人であれば、きれいな言葉で関わらない人よりずっといい。

を読んで思いました。

他所様の言葉に過敏になることはないが、私の用いる言葉には敏感ではありたい。また、やたらと神経を使って会話するのも疲れるが、無神経よりはマシだ、と。

ただ、言葉を紡ぎ出しているのは私の頭の中からなので、例えば、ある対処すべき事態が複数あって、片方には対処しているのに片方には何も対処してないってことが判明した場合、、、

頭の中では「片手落ち」という単語が浮かび、慌ててそれを別の言葉に置き換え・・・られないから(だって浮かばないんだモン)、それらの実態の指摘から始まって両者に対応すべきと示唆し。「片手落ち」なら端的な一言で済むのにと、ゑーい、まだるっこしい。

これに限らずなんだけど、私だってこの時代の産物なんだから、育ってきた過程で注入された言葉からの影響は避けられない。思考が該当する言葉を拾い集めるから、、、。

そーいうときに、関係者である幹子さんから、

言葉なんか、どうでもいいとまでは言わないが、
つきつめて考えてみれば、
どうでもいいことだ。

とスパッと言われると、ほんの少ーし軽くなる。決して「免罪符」ではないけれど(^_^;)

初顔合わせ後初感想(^_^) ゑまのん

P.S.

「岡椎太郎先生」

最初はただ単に、「おか しいたろうせんせい」と読んでたんだけど、何度か読むうちに「おかしい たろうせんせい」?

だとすると、気品にあふれた、あの幹子さんにしては珍しく、あんまし上品でないネーミングって気が、、、(^_^;)

「パンフレットを丸めて筒にして『見える、見える』なんて言って見回しちゃったのがいた。みんなで目立たないようにカバ−したが、全く冷や汗もんだ。彼なんかも、ちょっとどうかな、とは思うが、精神に障害があると医師が診断したわけではない。」

帝国議会での大正天皇のことですね。何でも、その筒で前列にいる議長の頭をポコポコ叩いたとか。でも精神に障害があると医師が診断、、、しようにも、神聖で侵すべからざる存在でしたからねー(^_^;)

「誰が猫に鈴をつけるか、だ。変だと思う人に、誰が『変だ』と言うんだ?」

けっこう「変」な人っています。でも、それが精神の病なのか、精神が失調しているのか、あるいは対人障害の一種なのか。長期的なものか、一時的なものなのか。何処かしら「変」に思えても、診断を受けてみたほうがいいのではとすすめるのは大変です。身体の病気なら素人目にも病気であることだけは判るから医者に行くよう勧めやすいんですけどね。

そういう意味では、精神科とはまた別に、「カウンセラー」というのがあるのはイイことですね。心の相談窓口として受け止められますから。なーんて思ってるんですが、幹子さんのを読みながら私が思い浮かべた「変」な人は、こういうカウンセリングをも仕事にしている人だったりします。「診断を受けてみたら」なんて、すすめにくいぜ(^_^;)

 

97/08/31 言葉って/幹子

ゑまのんさん

「言葉って難しい」
だって、
「知的発達障害者丸出し」なんて言ったら、違う状況が見えてきちゃうもん。

岡椎太郎先生を平仮名で書かないでネ(*^^*);
にわにはにわとり
庭に埴輪鳥

登場人物が多いので、覚えて頂きたくて、、、でした。 (・・;)

「耳塚先生」のほうは、順子の発音にそって考えた名前でしたが、ちょこっと反省してます。

初顔合わせでお上品ぶってみた 幹子
(^・^) ホホホ

 

97/11/06 動物その2/幹子

広場から引っ越してきました。
動物その2
また猫の話です

順子とス−パ−に行った帰り道のこと、ブロック塀の上に、金の目のペルシャ猫がいました。

ふわふわの白くて長い毛の大きな猫ですが、汚れて少し灰色になっています。私が住んでいる地域は、排気ガスのせいか、雀まで黒いのです。

「ふ−ねお?」

順子がつぶやきました。
いつまでも、いつまでも、見ています。
猫の方もじっと順子を見ています。

以前、順子は、ぬいぐるみのペルシャ猫をもっていました。それは、難聴難言学級のふ−しぇ−しぇ(藤山先生)から贈られたもので、「ふ−ねお」(ふ−先生の猫)と呼んでいたものです。

「ふ−ねこ」は、順子が可愛がり過ぎたので、古雑巾みたいになりました。何回も何回も洗ったので、毛が固くからまって、鼠色の、大きなてるてる坊主みたいなものになりました。

私は、デパ−トで同じペルシャ猫をさがしてきて、順子が眠っているあいだに取り替えました。

「ふ−ねこは、順ちゃんが寝てるあいだに、おりこうでお風呂に入ったのよ。」

新しい「ふ−ねこ」を見た順子は、どうしても納得しかねる、という様子でしたが、2日ほどで、慣れたようです。

そうこうして、4代目「ふ−ねこ」になったとき、順子は、猫の目をじ−−−っと見つめました。

「な−い。」(違う)
「ふ−ねお、な−い!」(ふ−ねこじゃない)
「ふ−ねお、ふ−ねお、ふ−ねお−−!!」

順子の強い抗議で、私は、前の「ふ−ねこ」は、黒目の回りが金色で、今度のは青だと、気付きました。

「ふ−ねこはね、順ちゃんが、たくさんたくさん可愛がったんで、本物の猫になっちゃったの。
本物になって、ふ−ねこ、嬉しい嬉しいって散歩に行ったの。
たくさん可愛がってくれて、順ちゃんありがとう、って言ってたわ。
今、外で元気に遊んでるの。
本物の猫になって、しあわせだって。順ちゃん、ありがとうって。」

順子は、「ふ−ねこ」が本物になってしまったことを、涙をうかべながら、どうにか納得しました。

そして、
新しい青目は、名前も新しく「ぷ−」。
寂しそうに、順子は、「ぷ−ねこ」を抱きました。

あれから20年もたちました。
金目のぬいぐるみの「ふ−ねこ」は、
ほんとに、
今、ほんとに、外で遊んでいたのです。

うれしくて、うれしくて、、、

「ふ−ねお、ましました。」(ふ−ねこ、いました)

それは、順子が再会した、なつかしい本物の「ふ−ねこ」でした。

幹子

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